霧をまとう樽で熟成させた「シングルモルトジャパニーズウイスキー戸河内 MISTY」。ウイスキーがもつ神秘性に迫るべく、ウイスキー界の傑士3名のトークセッションを開催。

株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー(以下サクラオB&D)は、「シングルモルトジャパニーズウイスキー戸河内 MISTY STILLMAN’S SELECTION(以下MISTY)」を発売します。サクラオB&Dがもつウイスキー熟成庫「戸河内トンネル」は広島北西部の山深く美しい自然に囲まれており、トンネル内に霧が立ち込める特殊な環境が形成されています。今回「戸河内トンネル」の中でも、特にその環境が生み出す神秘的な香味の強いウイスキー原酒をセレクトし、 “MISTY (霞がかった、霧が深く立ち込めた)” を冠してリリースすることといたしました。 発売に先駆け日本のウイスキー界を代表する静谷和典氏、北梶剛氏、秋本勇達氏によるテイスティングフォーラムを開催。MISTYのもつ魅力に迫っていただきます。

左から静谷和典氏、北梶剛氏、秋本勇達氏

トークセッションはまず、シングルモルトジャパニーズウイスキー戸河内と戸河内トンネルの話に。

静谷:ではまず、スタンダードボトル(シングルモルトジャパニーズウイスキー戸河内)をいただいて良いですか?あらためてテイスティングをすると、お花の蜜のような甘い香りがありますよね。以前蒸留所で醗酵槽を覗かせていただいた時も、バナナやパイナップルの香りが特徴的だった印象で戸河内にはそういうイメージがありますね。
秋本:樽のニュアンスもあまり強すぎないですね。
静谷:そうですねぇ。
秋本:すっと伸びてくれるような、素直な樽感がします。
北梶:確か戸河内トンネルは年間の温度の差が少ないんですよね。
静谷:ファーストフィル中心でここまで樽のニュアンスが少ないのはトンネルだからこそ!な気がします…オーキーな感じでないのは、湿潤な環境だからですかね?
北梶:例えばスペイサイドとかスコッチの長期熟成が好きな方にお勧めしやすいですよね。そういえば、トンネルの湿度は90%を越えるんですよね。
秋本:夏にトンネルに行かせてもらった時、側に湖のようなダムがあり、そこにも靄が立ち込めていて…他にもトンネル熟成を見たことがありますが明らかに湿潤さが違います。
静谷:そう!熱くないミストサウナですよね(笑)
秋本:トンネルの地面も濡れているようで、樽の栓も水を吸った硬めのスポンジのように、湿っている状態で。ウイスキーの熟成は寒暖差だけなのかなと思っていましたが、湿度も重要な要素なひとつであることを、現体験しましたね。衝撃的でした!スコットランドでも下にキノコやカビが生えている熟成庫も行きましたが、そこはもっと地下室のような雰囲気なんですよ…
北梶:キノコが生えているところ、ありますよね!湿度が高いというとコニャックやカルヴァドスの熟成庫のイメージもあり、長期熟成で原酒が40度前半くらいまでの状態にさがってフルーティーな仕上がりになるんです…戸河内トンネルはそのような環境を想起させますね。
秋本:まったく一緒のイメージです!戸河内トンネルは長さが結構ありますよね。先が見えないほど暗かったです。僕、眼鏡かけていますが、トンネルで眼鏡がくもってしまうくらい湿潤で。
北梶:眼鏡もミスティに?(笑)
静谷:眼鏡もミスティですね(笑)
秋本:本当、すごい湿気でした(笑)

戸河内トンネルがいかに湿潤な環境なのか、戸河内の情景を思い出していただいた後、MISTYのテイスティングを。

静谷:そろそろMISTYをいただきましょうよ!
秋本:水との一体感がすごいですね~。このMISTYは、スタンダードボトルの戸河内の輪郭はそのままで、エステリーさやモルトの風味をより感じます。一方でちゃんとカスクストレングスの味わいらしさを感じますね…とても面白い。
静谷:うーん、すごい!
北梶:すごい!冒頭に静谷さんが言っていた、スタンダードボトルの戸河内のバナナやパイナップルですか?すごく顕著にでていると感じますね…最初は、ファーストフィルのバーボンや、カスタードクリームの香りがあるんですけど、その後から、ソービニヨンブランのワインやライチのニュアンスも感じました。
北梶:後にリンゴのシードル感もある!香りも顕著ですが、味もやはりすごい!ニューメイクに含まれるバナナとメロンのフレーバーもでています!
秋本:本来なら熟成とともにバナナやメロンの香りに変化があると思いますが、MISTYの場合はニューメイクの時の要素が熟成後も続いていくというイメージ。うーん、断言はできないですが、ニューメイクの性質と戸河内トンネルの環境がばっちり合っているのではないかと思うんです。
静谷:水のヴェールで樽をくるんで熟成させているようなニュアンス。面白いですね!北梶さんの仰っていた通り、リンゴ感だったりメロンソーダ、ラ・フランスやソービニヨンブラン、マスカットもありますし、青い風味のアロエだったりそういったものも感じられます。綺麗なスペイサイドの清涼な地を思い出すようなフレーバーなのかな?と思うんです。ブラインドでもし試したらスペイサイドだと思う感じですね~。ただスペイサイドよりかはコクがあるイメージです。
北梶:香りの立ち上がりもスタンダードの戸河内はゆっくりですが、MISTYは結構最初から香りも立っていますよ!
静谷:アロマティックですよね!
秋本:北梶さんがおっしゃったクリーミーなところ、僕も感じていて何でだろう?と思ったんですけど、例えばメスカルをクリーミー・ミルキーに感じるような感覚ですかね…クラシックなハイランドモルトが好きな方は、クリーミーな質感を好きな方が多いと感じるのですが、それが4年で出てくるとは!やはり稀有な環境だからこそなんでしょうね…桜尾(シングルモルトジャパニーズウイスキー桜尾)とキャラクターが全然違うので面白いです。つくっている場所やニューメイクも一緒なのに、熟成環境だけでこんなにもキャラクターが変わるんですよ!?戸河内トンネルで色々なことができそうで、きっとまだ見たことがないものを見せてくれそうで!香りや味わいを探せる楽しさがあったり、まだ飲んだことないものも飲める!そんな期待感があります…!
北梶:30年以上前から戸河内トンネルで熟成していたという話を聞きました。今後も研究を重ねて、この強みや魅力を伝えてもらいたいですね。ポテンシャルが充分にある…MISTYはそのトンネルの魅力を体現した商品ですね!
静谷:このクリアで美しい香味の方向でこの先も進んでいただきたいですよね。稀有な存在感です!このウイスキーをつくる奇跡の場所が見つかったと言っても良いんじゃないですか?本当に全てのモルトラバーに一口だけでも飲んでいただきたいです!

■プロフィール

静谷 和典(しずや かずのり)
「第8代マスターオブウイスキー」。株式会社ロイヤルマイル代表取締役。「BAR Shinjuku Whisky Salon」「BAR LIVET」オーナーバーテンダー。CT SPIRITS JAPANカクテルチャレンジ日本チャンピオン。ウイスキーの香りを咲き誇らせる吹きガラス製法のグラス「咲グラス」をプロデュース。ウイスキー文化研究所が主宰する知識、鑑定能力を問う資格認定制度の最難関「マスター・オブ・ウイスキー」を取得しており、雑誌「Whisky Galore」のテイスターとしても活動中。SNS総フォロワー数70万人突破。

北梶 剛(きたかじ つよし)
ワインインポーター・小売酒販店を日本で経験した後、ドイツに渡り酒販関係の仕事を経験しながら、海外から見た日本のウイスキーマーケットを肌で感じ取る。現在は株式会社RUDDERの代表取締役として、年数回スコットランドや欧州を回りカスクハンティングを行い、プライベートボトリングを開発。複数の品評会の審査員も務め、近年は国内外でセミナーを行いウイスキーマーケットの発展を担っている。ブリティッシュパブを運営する株式会社ハイランダーイン・ジャパンの取締役も務める。

秋本 勇達(あきもと ゆうた)
20代でウイスキーの魅力に目覚め、学生時代から都内のBARやウイスキーのイベントに通う。ウイスキーを仕事にすることを決断し、㈱信濃屋食品でのアルバイトを経て、社員として入社。信濃屋ネット店での勤務及び商品開発を担当するスピリッツバイイングチームの一員として勤務。2017年から海外のイベント出店や原酒の買い付けに同行。2019年より現スピリッツバイヤーになり、信濃屋プライベートボトルを中心とした商品開発を担当している。

■「株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー」とは

1918 年、世界遺産・宮島の対岸にある広島県廿日市市桜尾に創業。ウイスキー、スピリッツづくりの新たな挑戦の ひとつとして、2017 年にSAKURAO DISTILLERY を竣工。100 年以上受け継いできた蒸留技術でモルトウイスキー、 グレーンウイスキーやジンの製造を行っている。 瀬戸内海の側の「桜尾貯蔵庫」と、中国山地の山あいのトン ネル「戸河内貯蔵庫」でウイスキーを熟成。この2つの異なる環境を使用することで海と山の自然豊かな 広島ならではのウイスキーを表現。2021 年には、シングルモルトジャパニーズウイスキー「桜尾」「戸河内」をリリース。

■シングルモルトジャパニーズウイスキー戸河内 MISTY STILLMAN’S SELECTION

山の奥深く、幻想的な霧が立ち込める戸河内トンネルでウイスキーは熟成の時を重ねています。フープはきれそうなほど錆び、樽には過酷といえる環境で熟成されたウイスキーは特有の味わいと香りを魅せます。そして、霧に満ちた戸河内トンネルの中で、戸河内の環境を体現しているかのような輝きと香りを放つウイスキー樽を見つけました。スティルマンが繊細な感性で優れたモルト原酒を選んだシングルモルトジャパニーズウイスキー戸河内 MISTY STILLMAN'S SELECTION。戸河内の環境を象徴するウイスキーをお届けします。

原材料名:モルト
アルコール分:48%
内容量:700ml
参考小売価格:16,500円(税込み)

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